Ayano Nakano
周囲の目線を気にせず、好きなことにまっすぐに。
好きを貫いた先にある私だけのスタイル。
Ayano Nakano / Lottaの自分らしさ。
ぼくらがかっこいいと思う大人たちは、ただ好きなことにひたむきに、少しばかり”オタク気質”なくらいのめり込んでいる人たちなのかもしれない。
いろいろと流行りのものは目まぐるしく変わっていくけれど、周りに流されずに純粋にいいなと感じたものをストイックに、そして楽しみながらディグしてみる。そこから人は「好き」なことを見つけ、それがいつの間にかその人だけのかっこいいスタイルになっているのかも。
少し先を生きるアーティストの生き方や価値観の中から好きを見つけるヒントを探してみる。
――――――――――
【Profile】
Ayano Nakano / Lotta
独学で水彩画、線画などを中心に制作活動をスタートし、絵を通してアパレルや壁画など幅広く活動する同世代のアーティストAyano Nakano。
アーティスト名はLotta。無類の音楽好きで幼い頃から聞き込んだ幅広い音楽や映画・アニメなど様々なところから得たインスピレーションを作品に落とし込む。
――――――――――
ー簡単に活動内容を教えてください。
活動内容か、、絵を描くっていうことかな?(笑)
10代の頃はクラブでDJをしたりもしていたんですけど、とにかく音楽がめっちゃ好きで自分でDJをやるよりは聞いてる方が好きだったから20代になる前にきっぱりとやめました。ただその後もクラブにはずっと通って音楽を聞いてます。
それでクラブにも絵が好きな人たちもいっぱい集まるのでそういう人たちに声をかけてもらって、定期的に絵の展示をさせてもらっています。そのほかにも写真は個人的に撮ることが好きで展示するほどでもない趣味の一環だったんですけど、展示会の雰囲気がなんでも好きにやってみたらっていう雰囲気だったのでとりあえず絵と一緒に写真も展示するようになりました。
ーすごい多才ですね、、絵はいつ頃から本格的に活動されているのですか。
絵自体は20代前半から活動はしてはいたんですけど、当時はアパレルで働いたりモデルをしたりもしていたのでそっちの仕事がメインになってしまって、絵の方にあまり力を注げなかったんです。25歳になったくらいからそれをやめてようやく絵の方に専念しようかなと思って、本格的に取り組み始めました。
ー生活もある中で絵描きという道に踏み出す決心をすることは難しくはなかったですか。
アパレルの仕事の後にも別の仕事をしていて、それは正社員ではなくてアルバイトだったんですけど実は私、建築の学校にも通っていたことがあって、建築に関連したDIYアドバイザーみたいなことをしていたんです。
建築にも興味があったし面白い仕事ではあったんですけど、やっぱり絵とはかけ離れてはいるし、ちょっとどうしようかなと思っていた矢先にお店がなくなるってことが決定して、「あ、まじニートになる」ってなってしまって(笑)。
ただその時にもうこれは絵をやれって神様が言ってるんじゃないかなって思ったし、その会社もなくなることだしと思って踏み切ったという単純な理由です。でも今は絵一本に絞ってすごい良かったなって思っています。
ーなるほど。空間づくりやデザインのようなことにも興味があったりするのでしょうか。
めっちゃあるかも!専門学校とはまた違うんですけど、舞台美術の学校にも通っていたんです(笑)。映画をみていると映画の舞台セットってめっちゃかっこいいじゃないですか。
作るのもかっこいいなと思って学校はそっちの作ることを学べる方に行ってみたんですけど、そこは音楽もやっている音楽学校の中の舞台学科みたいな感じのところだったから、私が興味あること全部できるじゃんと思って軽はずみに入ったんです。結局やりたいこととはちょっと違ったんですけど、ただ純粋に空間を作るっていうことは小さい頃から興味があります!
ーすごい多才です(笑)。ちなみに絵を始めたきっかけはなんだったのでしょう。
すごい単純な話でほんと小さい頃から絵は好きで描いていたんですけど、それを両親がとても褒めてくれたんです。
それがやっぱり本当に嬉しかったし、その嬉しいという思いが今でもずっと残っているのかな。だからその思いが絵を描き続けようというモチベーションにずっとなっています。なので両親のおかげなのかな。
ーすごい素敵ですね。絵に音楽・写真に空間作りと様々なことをされて来たと思うのですが、一番好きなものはなんでしょうか。
一番好きなのだと、、、音楽です(笑)。
絵じゃないんかい!みたいな感じですけど(笑)。
音楽は本当にノンジャンルで色々聞くんですけど、歌詞が入っている歌モノというよりは民俗調な音楽だったり、バレアリックな感じとかちょっとマニアックな感じの音楽が好きです!
絵ももちろん好きなんだけど仕事っていう部分もあるから、純粋に好きかって言われるとなんかちょっとモヤモヤもあるって感じですかね(笑)。
ー聞く音楽にもご両親の影響があったりするのでしょうか。
父親がレコードを収集する人で。というか本当に変態チックな人なんですけど。家もそんなに大きくはないのにめちゃ大きなスピーカーを2つ置いて音楽を聞いたりしていました。父は歌モノとか昔のディスコミュージックを結構聞いていたんですけど、それは私が音楽を好きになったことに結構影響を与えている気がしますね。
ー好きな音楽はやはり作品にも影響を与えているのでしょうか?
やっぱり音楽はほぼ常に部屋では流しているんですけど、その流している音楽によって結構描く絵柄が変わってきたり、色が変わってきたりということはありますね。あと他には歌モノを聞いている時は歌詞がついているから、その歌詞の情景に合わせた絵を描いてみたりすることもあるし、結構影響は受けていますね。
ー音楽がインスピレーションの元になったりするのでしょうか。
そうですね。
あと私めっちゃゲームが好きなんですけど、ゲームとかアニメもそうだし、映画もそうだし、そういったもうすでに出来上がっている作品から影響を受けて、内容を自分なりに解釈した上でそこから新しいキャラクターを生み出したりみたいなことは楽しいかなと思います。
ーちなみにどんなアニメを見られたりするんですか?
アニメだと最近観たのはNetflixにあるメイドインアビス。すごいオタクな感じになっちゃうんだけど、世界観がめっちゃ面白いから見て欲しいです!
絵柄はすごいほっこり系だから可愛いし癒されるかもと思って観てみたら、ストーリーが結構エグくて。そのギャップに完全にハマってしまって全部見ちゃいました(笑)。もちろん部屋から外に出ることも好きなんだけど、今年はもう本当に外に出れなかったので。なおさら室内にこもってできることばっかりしてますね。
ーAyanoさんにとって絵を描くことの面白さとはどんなところでしょう。
私が一番好きなのは実は色を塗る前のラフ画のところなんです。
私本当にざっくばらんに下書きをするんです。そこからどんどん形作られていって、ちゃんと正しいしっかりした作品が出来上がっていく経過を見るのが一番好きなのでやっぱり下書きから進んでいく過程が好きかな。逆に色を塗ることに対してちょっと苦手意識があります(笑)。
線画だったらめっちゃくちゃカッコよかったのに色入れたらなんか台無しになっちゃったみたいな経験があるから、色塗るのは苦手だなって思っています。
ーありがとうございます。次にAyanoさんのアーティスト名である”Lotta”の由来について教えてください。
多分高校生くらいの時に自分でつけた名前で”Lotta”って言葉が好きで、”lot a love”の短縮形なので単純に「たくさんの愛」って意味なんですけど、実は、”Lotta Love”っていうニコレット・ラーソンという方の曲があって、私この曲めっちゃ好きなんです!
高校時代にこの曲に出会って、「やばい!」ってなったところから”Lotta”をとりました(笑)。
ー素敵なお名前です。当時から本当に音楽をディグっていたんですね。
そうなんですよね。本当に変態だったから(笑)。
同じ音楽が好きな友達は本当にいなかったし、一人だったけど音楽に救われていました。
今のご時世だと結構こういう曲を好きな若い子もいっぱいいるからすごい嬉しんだけど、私が高校の頃はまだ開発できていないジャンルだったので、(笑)。
ーお話を伺って、周りの意見を気にせず好きだと感じることにとことん熱中するタイプなのかなと感じたのですが、、
本当に、まさにそう!!
なんかね音楽というか音好き超変態エピソードがあるんですけど、小学生の頃ってランドセルをみんな背負うじゃないですか。私、本当に音に関して変態だったからランドセルの横にみんながつけたりするキーホルダーを、自分で一番気持ちいい音がなるようにカスタマイズして通学してました。その音を聴きながら学校に行くとめっちゃウキウキするからっていう理由で。めっちゃキモいよね(笑)。
ただ極端なエピソードだけど、それくらい好きなことにはこだわるタイプなのかもしれないです。
ーAyanoさんが絵を通して表現したいことはなんでしょうか。
多分本当に自己満足なんだと思うんですよね。自分が100%これを描いたらかっこいいやろっていうのを作品に落とし込むんです。
プライドみたいなものもあるし、オタク気質のこだわりみたいなものもあるんだろうけど、とにかくこれを描ければ絶対に自分が納得できるんだろうなっていうものとか、本当に好きなものだけを表現していつも作品にしています。
だから本当は誰かに向けて描くっていうのはあんまりないのかもしれないです。ただ偶然それを第三者の人が見て、気に入ってくれたから今は人のために描くということも始めたんですけど、最初は本当に自己満でした。
ー作品、アイテムを受け取った人にどのように感じて欲しいですか。
「あ、これがかっこいいんだ」って思ってくれれば単純に嬉しいです。あと少し性格悪そうなことを言うんだけど、既存のデザインでこれ思いっきりダサいでしょと思うものってあったりするじゃないですか。なんでこれがこんなに売れているんだろうとか、なんでこれをみんなこんなに好きなの、みたいに思うことがやっぱり結構あってそんなのよりこっちでしょ!みたいな(笑)。
そういう意味でデザイン的に認めさせたいという思いはめっちゃあるし、そういうちょっと子供っぽいプライドみたいなものはあるかもしれないですね。受け取った人に「これが本物なんだ」って思って欲しいかな。
ーAyanoさんがかっこいいなと思う人や影響を受けた方を教えてください。
あんまりそこまで人に興味を持つタイプではなくて自分の世界に引きこもるタイプの子供だったからあれなんだけど、大人になってからすごく興味を持つようになったのは、タトゥーアーティストの方々ですね。誰がという固定の人がいるわけではないんですけど、特にベルリンにいる好きな彫り師さん達の作品とか観るとすごい感動します。
ベルリンのタトゥーアーティストさん達って日本人には無い視点で絵を描いて作品にしているなってすごい思っていて、それにめっちゃ影響を受けているかもしれないです。
ーありがとうございます!最後にこれからの目標について考えていることを教えてください。
これまではずっとアナログで絵を描いてきたので紙に鉛筆で絵を描いて色を塗るみたいなものが多かったんです。ただ最近はデジタルの絵も描き始めているのでそれをちょっと突き詰めていくじゃないですけど、もうちょっと自分なりにパワーアップしてアニメーションとかそういうものも作ってみたいと思っています。仮にアニメーションができたらクラブとかで流したりして、それこそ音楽と絵の融合みたいな新しいパーティーができたらいいなと思っています。
――――――――――
幼い頃から「好き」という感情に向き合い、自分らしいスタイルで多くの同世代から支持を受けるAyano Nakano。
そんな彼女の絵や音楽といった活動の背景にある、周りの目を気にせずに好きなことに熱中する姿勢。
そんな自分の思いに正直に従うことから、自分にしかないスタイルは生まれてくるのかもしれません。
自身の感性を大切に、まずはちょっといいかもと思ったことに取り組んでみたり、深くまで調べてみる。
ちょっとだけ”オタク気質”になってみることが、かっこいい自分らしい生き方への第一歩かもしれません。